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ふう… 今日もタイクツね…
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毎日毎日 家のためにお稽古ばかり… まるで カゴの中の鳥みたいですわ
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こうして 羽根を伸ばして 外出しても 空はどんよりしているし 息が詰まりそう…
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…いけないわ アタシまで くもっていては
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はやく 生け花のお稽古につかう お花を摘みにいかないと 家庭教師に 心配されてしまいますの…
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………
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なんでしょう… どこかから 視線を感じますわ… こわい…
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じーーーーーーっ
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いやだわ… もしかして 彼… ずっと アタシのことを…?
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ちょっと アナタ… なに じろじろ 見てるんですの…?
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まさかとは思うけど… フシン者?
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フ… フシン者!? 言いがかりは やめてくれたまえ!
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じゃあ なんなのよ… 返答次第じゃ タダじゃおかないワ
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ボクはただ キミがでてきた 美しいお屋敷を スケッチしていただけだ!
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…アヤシイわね じゃあ 見せてみなさいよ その スケッチ…
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悪いけど 完成前の作品は 人に見せない主義なんだ
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そう… 見せられないってことは… やっぱり フシン者なんじゃない
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だから フシン者じゃない! ボクは 芸術家だ!
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じゃあ ごちゃごちゃ言ってないで み・せ・な・さ・い…!
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バッ!
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あっ! まだ下書きの途中なのに…!
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フフフフ… なによ これ? ずいぶん 立派な絵画ね
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なんだと!! キミにボクの芸術が 分かってたまるか!
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なに いってるの? 本物の芸術作品なんて アタシの家に いくらでも 飾ってあるワ!
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ヒラヒラ…
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ん? 何か落ちたぞ? なんだい これは?
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い…いますぐ その紙を返しなさい! さもないと…
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フン 強引に奪い取られたお返しだよ どれどれ…
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「あなたの笑顔は 宝石以上の輝き…」
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「思わず めまいがしてしまいそう」 くくくっ… まさか…
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これは キミが書いたのかい!? ずいぶんな ケッサクじゃないか! …笑いが止まらないくらいのね!
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なんですって…! アナタにこの良さが わかるわけないワ!
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それなら言わせてもらうけど ボクだって 著名な詩集ぐらい いくらでも 読んだことあるんだぞ!
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それと比べると これは… フフッ… くくくく… うひゃひゃひゃひゃー!
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あはははは! 笑い声につられちゃった…笑える
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よくも… よくも笑ってくれたわね…
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アナタたち ゆ・る・さ・な・い…! キエエエエエエエエエー!!
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…すこしは静かになったわね
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さぁ フシン者 さっさと アタシの目の前から 消えなさい
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だーかーら! フシン者じゃなーい!!
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それに まだ キミのご自慢の作品を 最後まで見せてもらっていないからね いま 立ち去るワケにはいかないのさ
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「そして あなたのその優しい声は どんな宝石よりも 澄んでいて…」
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「か弱いアタシは いつも その声に 奮い立たせられるの…」
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…ん? ちょっと まってくれ キミのどこが か弱いんだい!?
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キエエエエエエエエエ!! いますぐ! いますぐ返しなさい!
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ちょっと そこのあなたたち! いったい なにをしていますの?
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この街の平和を乱す行為は 許しませんわよ!
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…この人が アタシの物を奪って 一方的に ののしってきましたの…
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アタシ とてもこわくって…グスン
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おいおい! キミ ヒキョウだぞ! 急にしおらしくなって!
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ひどいですわ… ヒキョウだなんて… まだ アタシをののしるのね…グスン
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それは 見過ごせませんわね! このラフィーナがビシっと 取り締まって さしあげますわ!
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ひいぃぃぃ!! それだけは カンベンしてくれ~~!
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…よしっ 一件落着ですわね
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それでは アタシはそろそろ… 買い物に行く予定がございますの
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ちょ ちょっと待って下さらない?
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(あの日傘… 超高級ブランドの オーダーメイド品に間違いないですわ)
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(これは がっぽり報酬をもらう 大チャンスですわね!)
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…なんでしょう? あまり 時間がないのですけど…
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なにか お忘れでないかしら? 例えば… お礼とか
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お礼…?
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そうですわ! とりあえず このふくろがいっぱいになるくらい たーっぷりと いただけるかしら?
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(これだけもらえば 「お肌ぴかぴか!スチーム飲料水」が 一年分は手に入りますわ♪)
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…………
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いとしの あのかた以外に あげられるものなんて ないワ… フフ… フフフフフ…
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キエエエエエエエエエ!!!
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ひっ!? わ… わたくし 街の見回りに 戻りますわね! それでは!
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…………
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ああ…とってもこわかったわ…
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でも 勇気をもって立ち向かえたのは あなたがくれた パワーストーンの おかげですわ…
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これがなかったら アタシ きっと 何もできないもの…
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ポロッ
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いとしのレムレスからもらった パワーストーンが…! はやく ひろわな…
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ひょい
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やばいっしょこれ! キラキラ輝いてる的な? めっちゃいいもん拾ったわ~
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……か・え・し・な・さ・い…!!
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キエエエエエエエエエ!!
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